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2016年09月01日

エイジングケア

百寿者のアンチエイジング法

日本抗加齢医学会から二ヶ月ごとに情報誌『ANTI-AGING MEDICINE:アンチ・エイジング医学』が届きます。そこにはアンチエイジングに関する世界のホットな情報や最近の話題に対する興味深い情報が数多く載っています。

アンチエイジング誌

▲『ANTI-AGING MEDICINE:アンチ・エイジング医学』

その中で私が特に興味を持っているのが、100歳以上の元気な方を、日本抗加齢医学会の先生方が訪問取材する『百寿者に訊け!長寿のヒケツ』のコーナーです。そこには長年の日常生活で実践して来た「食や運動、趣味、考え方」などの情報が百寿者の写真と共に満載されています。

今回は、直近10例のうち特に印象に残った3例をご紹介しましょう。①京都市/Oさん(107歳女性):偏食はなく、うなぎ、お寿司が好き、ビーフステーキも好き。背筋がピンとして若々しい。美を保つことを心がけている。趣味は日本舞踏、60代で煎茶、70代から習字を始める。おしゃべりも大好き。②横浜市/Mさん(114歳女性):寿司とうなぎが好き。普通食を良く噛んで食べる。たばこは吸わない。お酒はワイン。クスリは飲んでいない。人との会話、踊りが好き。活動的な日常を過ごしている。楽しかったことは海外旅行。怒ったことはない。外交的でアクティブ。認知症の傾向は見られない。③兵庫県/Sさん(101歳男性):てんぷらも好きだが野菜が一番好き。タバコは吸わない、お酒も飲まない。姿勢を正すことを意識し、体操もする。90歳過ぎから孫にパソコンを教わる。詩と短歌を長年書き続けている。感謝の気持ちを忘れず、人とのつながりを大切にしている。

上記の他、直近の10例は、女性が多く9名。男性はただの1名でした。この傾向は厚生労働省の調査でも示されています。2015年9月現在の100歳以上の高齢者総数は61,568人。そのうち女性は53,728名で、なんと全体の87%です。百寿者は女性が圧倒的に多いのですね!男性の皆さん頑張りましょう!

10名の皆さんの共通点を探してみましょう。まず、食事は3食、野菜をしっかり摂っている。そして、意外にも多くの皆さんが肉を食べています(歯も丈夫そうです)。運動は若いときからスポーツを楽しみ、日常では自転車や畑仕事をやっている(筋肉貯金がありそうです)。性格は、積極的でプラス思考。余談ですが、ハーバード大学の研究で、“Happy People Live Longer” という報告があります。そう、幸せな人は長生きなのです。

趣味として川柳、短歌、詩、読書、日記、新聞読み、写経、パソコン、歌、編み物、縫製など、多くは頭を使うものをシニア世代になってからも楽しんでいます(認知症の予防に繋がっていそうです)。そして、タバコは吸わない。お酒は少々。薬は飲んでいないか、飲んでも最少量です。

このような共通点の中で、科学的にも裏付けされていることがあります。それは、お肉を食べることです。お肉は、中年期までは食べ過ぎに注意が必要とされていますが、シニア世代になると事情が変わります。図のように、66歳からはお肉(動物性たんぱく質)を積極的に摂取したほうがガンによる死亡率を下げるという研究成果があるのです。60歳半ばからは、お肉を積極的に摂るようにしましょう。

高齢者と動物性たんぱく質

 

そして、今回私が特筆すべきと感じたのは「美へのこだわり」です。①のOさん(107歳女性)は、「美を保つ」ことを心がけていると言います。まさしく、髪はふっさり、顔にはシワが少なく、背筋もピシッとしています。誌面の顔写真をお見せできないのが残念ですが、驚愕の若さです。美への強いこだわりは、このような結果をもたらすのだと強く印象に残りました。

また、百寿者から大いに学ばなくてはいけないのが積極性です。60代から煎茶、70代から習字、 80代から編み物、90代からパソコンを始めたという百寿者の皆さんにはひたすら驚きです。若い世代でも、日常生活の改善や、新しい運動習慣など、出来そうもないと思っている方が多いと思いますが、この方たちはどうでしょう。80、90代からも新しいことを始められるのです。

以上、百寿者10名の共通点をご紹介してきましたが、いかがでしたでしょうか。食事、運動、趣味、性格など、いくつになっても若々しい人生を楽しむためにとても参考になると思います。

抗加齢医学の専門家として、わたしからも1つ、加えされていただきたいことは、骨折を防ぐことです。年齢を重ねると転倒し易く、転倒するだけで骨折してしまうことがあります。骨折して寝たきりになってしまうと、若々しい人生どころではありませんね。

骨折を未然に防ぐためには、骨を強くすること。カルシウムだけでなく、ビタミンD、ビタミンKを含む食材の摂取が必要です。具体的には牛乳(カルシウム)、陽射しにあたったキノコ(ビタミンD)、抹茶(ビタミンK)など。骨は急に強くなるわけではありませんので、若いうちから積極的に摂取しましょう。

今回ご紹介した百寿者の例と合わせて、これからの人生プランにお役立て頂ければ幸いです。

 

参考文献:日本抗加齢医学会雑誌『ANTI-AGING MRDICINE』(株)メディカルレビュー社

百寿者の習慣

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※番外編コラム筆者紹介
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サンプライズ株式会社
代表取締役社長:元井益郎
薬学博士、薬剤師、NR(栄養情報担当者)、日本抗加齢医学会認定指導士。
1946年生まれ。東京薬科大学薬学部卒業。ジェーピーエス製薬株式会社入社・退社後、サンプライズ株式会社設立。東京大学や慶應義塾大学など、国内の著名な大学機関と抗加齢に関する共同研究を行っている。趣味は山登りとマラソン。今年で70歳になるが、自称年齢は52歳。年間に4回ほどフルマラソンへ出場し、4時間以内に完走することもある。登山では世界7大陸の最高峰を制覇することを目標とし、既に4つを登頂成功。来年はデナリ(マッキンリー)に挑戦する予定。トキメクような目標をモチベーションに、アンチエイジングを体現している。好きな言葉は、「過去は変えられないが、未来は変えられる」。

元井 益郎

薬学博士/社長

1分も走れないペンギン歩きから、世界7大陸最高峰を目指す70代に。

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