2020年06月11日
エイジングケア
たくさん笑って、病気知らず!
今回は、堀江重郎先生の対談集『いのち』の中から、「笑いの効能」についてご紹介します。堀江先生は、日本抗加齢医学会理事長で、順天堂大学の泌尿器外科学主任教授でもあります。
リウマチ寄席の効能
対談集には、落語家の林家木久扇師匠が、対談者として登場します。
彼は二十数年前、日本医科大学に呼ばれ、「リウマチ寄席」を行ったそうです。病院の片隅に高座を設けてもらい、重度のリウマチの患者さん26名と、彼らとデータを比較するための健康な女性をお客様に迎え、落語を1時間聞いて頂いたとのことです。皆さん大笑いをして聞いて下さったそうです。
寄席の前後で血液を採取し、データを比較しました。すると寄席後には、26名のうち22名もの方が、炎症の程度を示す物質が明らかに減っていたそうです。中には、健康な人の10倍以上もあった異常な数値が、正常値に戻った患者さんもいたとのこと。アメリカのリウマチ専門誌にも、その内容が掲載されたそうです。
笑いは病気までも吹き飛ばす!
堀江先生によると、通常はステロイドを使わない限り、そのような結果は出てこず、笑うと確かに免疫力がつく、というのです。笑う人の方が「がん」にならないとも言われ、アメリカにある世界一のがんセンターも、がんと免疫、心の関係を認めていて、治療に応用すべきだと提言しているそうです。
そして堀江先生は、自分の患者さんに抗がん剤投与をする時には、落語のDVDでもTVのお笑い番組でも、最も笑えるものなら何でも良いから、好きなもので無理をしても笑うように、と必ず伝えているそうです。
ある時、がんの進行した若い患者さんの病室へ、そっと伺うと、カーテンの向こうで一生懸命笑っていたそうです。そして、なんとその患者さんは、がんが治ってしまったというのです。
アメリカの医療統計によれば、病気の原因の90%がストレスで、がんはもちろん、糖尿病、心筋梗塞、脳卒中、うつなど多くの病気にストレスが関係しているといいます。そんなストレスや、がんまでも、笑うことにより吹き飛ばせる可能性があるのです。
私は堀江先生の話を聞いて、メンタル面までケアする、今時珍しく、素晴らしい先生だと確信し、感動しました。そんな先生が増えたら、病気の治癒率も様変わりするのではないかと思います。
今、世の中には不安な話題が蔓延している上、自粛生活で運動不足になり、多くの人の免疫活性は落ちているものと思われます。このような時こそ、大笑いして、コロナもストレスも笑い飛ばしましょう!
参考文献:『堀江重郎 対談集 いのち』かまくら春秋社 堀江重郎 著
コラム筆者:元井益郎
薬学博士/薬剤師/NR・サプリメントアドバイザー/日本抗加齢医学会認定指導士。
東京薬科大学薬学部卒業。ジェーピーエス製薬株式会社入社・退社後、サンプライズ株式会社設立。東京大学や慶應義塾大学など、国内の著名な大学機関と抗加齢に関する共同研究を行い、研究結果をもとにサンプライズ製品の開発を行う。
趣味は山登りとマラソン。73歳になるが、自称年齢は55歳。2017年6月、デナリ(マッキンリー)に登頂成功。好きな言葉は、「過去は変えられないが、未来は変えられる」。