2020年07月09日
エイジングケア
太陽光の効用って?
暑い夏がやってきました。この季節になると、例年「紫外線は美白の敵」などという情報が、企業のTVCMで大量に流されます。
確かに、太陽光に含まれる紫外線は、皮膚がんや白内障の原因になることもあり、悪い作用もあります。しかし、太陽光に当たること自体が悪、とのイメージが、あまりにも浸透し過ぎているように思います。
そこで今回は、太陽光の効用についてご紹介します。
新型コロナウイルスにも!?太陽光の効用
私たちの体は、太陽光を浴びると、ビタミンDを合成することができるようになっています。ビタミンDは、美容・健康面で様々な働き方をすることが分かっている、とても重要な栄養素です。
今年5月、ヨーロッパ20カ国内において、ビタミンD濃度が高い国民ほど、新型コロナウイルスの罹患率と死亡率が低い、という論文(*)が発表されました。
この論文では、ビタミンD濃度が大変低いのは、スペインの老年人口と、イタリア人、スイス人で、新型コロナウイルスに対し最も弱いグループだと指摘しています。
さらにビタミンDは、骨粗しょう症の予防、がん予防はもちろん、筋肉を増やす働きや、認知症や鬱病にまでも関係していると言われています。
それを、太陽光を浴びるだけで合成できるのですから、一概に太陽光を敵視するのはいかがなものでしょうか。
太陽光の良し悪しを理解し、行動する
太陽光は、弊害だけではないことがお分かり頂けたでしょうか。ぜひ、頭の中に天秤をイメージし、弊害と効用のバランスを考えて行動してみてください。
具体的には、その時の状況に応じて、紫外線を防止する対策(サングラスや日焼け止めクリームを部分的に使用するなど)を立てつつ、新型コロナウイルスに罹患しないためにも、時には太陽光を浴びることを意識する、といったことです。
今の暑い時期、太陽光を浴びるには、気温が高くなる前の朝日がお勧めです。体内時計もリセットされ、体のリズムも整えられます。
今こそ、過剰な弊害情報に惑わされることなく、太陽光の大きな効用も理解しておくべきです。そもそも太陽が無くなったら、人類は生きていけないのですから。
*参考文献:Aging Clinical and Experimental Research Published online:06 May 2020
コラム筆者:元井益郎
薬学博士/薬剤師/NR・サプリメントアドバイザー/日本抗加齢医学会認定指導士。
東京薬科大学薬学部卒業。ジェーピーエス製薬株式会社入社・退社後、サンプライズ株式会社設立。東京大学や慶應義塾大学など、国内の著名な大学機関と抗加齢に関する共同研究を行い、研究結果をもとにサンプライズ製品の開発を行う。
趣味は山登りとマラソン。73歳になるが、自称年齢は55歳。2017年6月、デナリ(マッキンリー)に登頂成功。好きな言葉は、「過去は変えられないが、未来は変えられる」。