2021年02月10日
エイジングケア
炭水化物をむやみに減らすのはNG!
先日、知人と寿司を食べに行ったところ、彼は寿司のご飯を除いて具材のみを食べていました。どうやら炭水化物ダイエットを行っているようです。今、このダイエット法を取り入れている人が多くいますが、改めて炭水化物の摂取について考えてみましょう。
炭水化物は、増やしすぎも減らしすぎもNG
まずは、有名医学雑誌「Lancet」掲載の、炭水化物に関する報告をご紹介します。米国居住の15,428人の男女(45~64歳)を1987年から平均25年間追跡したそうです。すると、総エネルギー摂取量に占める炭水化物の割合と、総死亡率との間に、U字型の関連が見られました。
つまり、総エネルギー摂取量に占める炭水化物の割合が50~55%で、総死亡率が最も低くなったそうです(U字型は、摂取量が少ない人側と多い人側で総死亡率が高くなることを表す)。さらに、日本人などの多国籍の人々を含む研究データも加え、合計432,179人を分析しても、この関係は保たれていました。
以上の報告から、炭水化物は、摂取量を増やしすぎても減らしすぎてもよくないということが分かります。
食物繊維不足に注意。砂糖の多過ぎる食べ物、飲料から減らす!
炭水化物は、食物繊維と糖質を合わせたものです。次は、食物繊維についてお話しします。
食物繊維は、腸内環境の改善に効果的で、私たちの健康に重要な役割を果たしています。しかし、日本人の摂取不足は下のグラフのように深刻です。急増する大腸がんの要因ではないかとも言われています。
▼ 日本人の平均食物繊維摂取量の変化
日本人の食事摂取基準(2020年版)によると、食物繊維の目標摂取量は、18~64歳では1日あたり男性21g以上、女性18g以上とされています。ところが実際は、どの世代でも不足しています。特に若い世代は深刻で、国民健康・栄養調査(2017年)によると、 20代では目標値の6割程度しか摂取できていません。
この原因は、野菜の摂取不足もありますが、なんといっても、食物繊維の一番の供給源である、主食の米や麦(パン)の摂取量が減っていることです。さらに、最近の炭水化物や糖質制限ブームで、ますます減る傾向があります。
以上のように、健康のためには、炭水化物の減らしすぎにも注意しましょう。減らす必要があるなら、むやみに米や麦(パン)を減らすのではなく、砂糖(糖質)をたっぷり含む食べ物や清涼飲料水から減らすようにすると良いでしょう。食物繊維については積極的に摂りましょう。
参考文献:Lancet Public Health.2018 Sep:3(9):e419-e428
コラム筆者:元井益郎
薬学博士/薬剤師/NR・サプリメントアドバイザー/日本抗加齢医学会認定指導士/毛髪診断士。
東京薬科大学薬学部卒業。ジェーピーエス製薬株式会社入社・退社後、サンプライズ株式会社設立。東京大学や慶應義塾大学など、国内の著名な大学機関と抗加齢に関する共同研究を行い、研究結果をもとにサンプライズ製品の開発を行う。
趣味は山登りとマラソン。74歳になるが、自称年齢は50歳。2017年6月、デナリ(マッキンリー)に登頂成功。好きな言葉は、「過去は変えられないが、未来は変えられる」。