2021年10月14日
エイジングケア
最新情報!アッカーマンシア菌って?
究極の善玉腸内細菌!?
菌類には多様な種類がありますが、今後、間違いなく健康・美容分野で脚光を浴びると思われるものがあります。
それはまだ耳慣れない言葉ですが、「アッカーマンシア菌」といいます。今回は、私たちも研究を行っている、この菌についてお話しします。
アッカーマンシア菌とは、2004年にオランダで発見された腸内細菌の一種で、学名では、アッカーマンシア ムシニフィラ(Akkermansia muciniphila)と呼ばれます。今、この分野の研究は急ピッチで進んでいます。
この菌は、通常、消化管に3~5%存在します。しかし体重や肥満度指数(BMI)、血中コレステロール値、空腹時血糖値が高い人は、正常な人に比べて、腸内にこの菌が少ないとされています。要するに、不健康な人はアッカーマンシア菌が少ないのです。
逆に、長寿者(105歳以上)はこの菌が多く、究極の善玉腸内細菌とも言われています。
アッカーマンシア菌の作用について、さらに詳しくお話しします。
この菌は、腸管のバリア機能、免疫機能を高めています。国際的な大会で活躍するようなアスリートの腸内にも多く発現しており、運動直後の炎症を抑える働きを担っています。
さらに、この菌を肥満マウスに注入すると、体脂肪量を半減させることもわかっていて、「ヤセ菌」とも言われています。とにかく優秀な菌なのです。
若さのために、アッカーマンシア菌のような善玉腸内細菌を増やす食生活を送ろう
私たちの研究成果についてもご紹介しましょう。国立長寿医療研究センター及び東京薬科大学との共同研究の内容です。
マウスにブラジル産露地栽培アガリクスKA21を含む餌を摂取させたところ、含まない餌を摂取させた群に比べ、アッカーマンシア菌が有意に増殖しました。
その他、運動機能、健康長寿などにも優れた成果が現れました。これらの結果を受け、今般、医療・美容分野で特許申請を行ったところです。
次のような研究もあります。マウスを、魚油を摂取させる群と脂のラードを摂取させる群に分け、11週間後に比較しました。
すると、魚油食群ではアッカーマンシア菌が増えましたが、ラード食群では減少し、炎症反応が亢進していました。
また、抗生剤、非吸収性の人口甘味料はアッカーマンシア菌を減少させることもわかっています。
アンチエイジングの面で、アッカーマンシア菌のような善玉腸内細菌を増やす食生活を送ることは、非常に重要です。
魚を積極的に摂る、抗生剤や人口甘味料はできるだけ避ける、といった食生活を送るとよいでしょう。これまで当コラムでお話ししてきた、アンチエイジングに大切な食生活とも類似しています。