MENU

2021年11月11日

エイジングケア

人生100年時代の決め手は、腸内フローラを整えること!

人生100年時代の到来!?

これからは「人生100年時代」と言われています。ところが、日本抗加齢(アンチエイジング)医学会では「いや、これからは人生120年時代。さらにあと10年もすると、老化は病気の一つではないか?という時代がくる」と言います。

いつまでもイキイキと元気に過ごす生き方が、今後、一層求められるといえます。そこで今回は、長寿地域として有名な「京丹後地域」に関する研究を題材にお話しします。

京丹後地域とは、京都の北部の、京丹後市、宮津市、伊根町、与謝野町の2市2町からなる地域です。元気な高齢者が多く、人口10万人あたりの100歳以上の住民の割合は、全国平均(2017年:53.4人)の約3倍(2018年:155.6人)となっています。

また、歴代世界最高齢男性の記録は、現在もこの地域の、木村次郎衛門さんによる116歳54日(2013年逝去)です。全国とのこの差はどこから来るのでしょうか?京都府立医科大学チームは、この地域を対象に研究(京丹後長寿コホート研究)を行いました。

 

腸内フローラを整えて、元気な人生100年時代を

京丹後地域は日本海に面し、さらに山もあるため、住民は海藻類、全粒穀類、豆類、イモ類などの食物繊維食を多く摂取しています。そして、京丹後の人たちの腸内フローラ(腸内細菌叢)には、腸に届いた食物繊維を発酵・分解する有用菌の「酪酸産生菌群」の占有率が高いという特徴が見られました。

腸内には数万種以上の腸内細菌が棲みつき、そのバランスが変化することで、健康面に大きな影響を及ぼしています。京丹後の人たちは、食物繊維食中心の食生活により、腸内の酪酸産生菌群が増加に転じ、健康面に良い影響を与えていることがうかがえます。

今、日本人の1日の食物繊維摂取量は著しく不足しています(1947年では27.4gの摂取量が、2014年は14.2gに減少)。しかし、京丹後の人たちには当てはまらないのです。

類似する私たちの研究もあります。ブラジル産露地栽培アガリクスKA21をマウスに摂取させると、アッカーマンシア菌(究極の有用腸内細菌と言われ、酪酸も作る)が増えることが分かっています。また、アガリクスKA21に関する他の動物実験では運動機能、平均寿命も高める研究成果が出ています。

その他、京丹後の人たちの特徴として、以下のようなことも見えてきました。①規則正しい生活をしている、 ②日常的な身体活動度が高い、 ③血管年齢が若い 、④サルコペニア*¹、フレイル*²が少ない 、⑤他人の世話になりたくないという気持ちが強い。

病気から遠ざかり元気な人生100年時代を迎えるには、不足している食物繊維をしっかり摂り、腸内フローラを有用菌有意な状態に引き戻すことが秘訣といえます。古代ギリシャの医師、ヒポクラテスも言っています。「すべての病気は腸から始まる」と。

サルコペニア*¹:加齢や疾患により筋肉量が減少することで、全身の筋力低下および身体機能の低下が起こること。

フレイル*²:加齢や疾患によって身体的・精神的なさまざまな機能が徐々に衰え、心身のストレスに弱くなった状態のこと。

元井 益郎

薬学博士/社長

1分も走れないペンギン歩きから、世界7大陸最高峰を目指す70代に。

\ この記事をシェア /

pagetop