2022年10月27日
エイジングケア
どんな栄養素を摂るかで将来が変わる!?
健康寿命を延ばすことを目指す
2022年4月、国内最大の医療系学術団体「日本医学会連合」は、健康寿命を延ばすことを目指す「フレイル・ロコモ克服のための医学会宣言」をまとめました。
フレイルとは、老化により心身の機能が低下した、「健常」と「要介護」の間の状態を言います。またロコモ(ロコモティブシンドローム)とは、運動器の障害のために移動機能が低下した状態を言います。この宣言の趣旨は「みなさんが高齢になっても元気で外出できる社会を目指す」というものです。
この「元気で外出」の反対側には、「寝たきり:要介護」の状態があります。そうなってしまったら悲惨ともいえますので、宣言のように、健康寿命を延ばすように努めることが大切なのです。
摂取する栄養素は将来に影響する
少し古いデータですが、寝たきり状態に関連する調査結果をご紹介します。下の図で示すように、中高年で「大腿骨骨折」をした人の人口あたりの割合を、骨粗鬆症財団や近畿大学などの研究グループがまとめました(引用:朝日新聞 2017年10月13日発行)。
▼大腿骨を骨折した40歳以上の割合(2015年)
足の付け根の股関節に接する部分を大腿骨近位部といい、この部分を骨折すると、寝たきりなど介護が必要な状態になることが多いと言われています。このような大腿骨骨折は、骨密度の低下や骨質の劣化から起こる骨粗しょう症が進むと起こりやすくなります。
調査によると、全国平均を100とした大腿骨骨折の発生比は、女性では兵庫県や和歌山県、沖縄県などで120前後と高く、また西日本全体を見ても高くなっており、男性でも同じ傾向が見られました。最も高い沖縄県と最も低い秋田県では、2倍もの差がありました。
この地域間の偏りについては、ビタミンK(骨へのカルシウムの取り込みを助ける)の血中濃度が東日本の人では高くなっていることから、ビタミンKを多く含む納豆の消費量が西日本に比べて東日本で多いことが関係するのではないか、といった報告が過去にありました。
研究グループは、食生活が影響している可能性もあると言います。摂取する食べ物、含まれる栄養素の違いで、将来の状態に大きな差を及ぼすかもしれないのです。
あまり知られていませんが、ビタミンKは抹茶にも多く含まれています。抹茶はそれ以外にもカテキン、テアニンなどを含み、サプリメントの原料として非常に優れています。私が処方したサプリメント「美ルート」にも使用しています。
いずれにしろ、高齢になっても元気に外出できる状態を保つには、必要な栄養素を万遍なく摂る食生活、さらに運動の習慣づけが必要です。やせ過ぎもリスクになりますので十分に注意してください。