2017年11月07日
ヘアケア
美髪に良くない生活習慣を改める(1)シャンプー編
これまで、IGF-1を増やし、育毛や美髪に良い食習慣やサプリメントなどをご紹介してきました。しかし、このような習慣を続けると同時に、育毛や美髪に良くない習慣は改めなければなりません。
今回は、その悪い習慣のひとつとして、シャンプーをご紹介します。シャンプーが美髪を損なうなどとは思ってもみない人にとっては驚きでしょうが、まずは以下をお読み下さい。
シャンプー効果のまことしやかなウソ
シャンプーで、頭皮の状態が良くなり、毛が増えるとか、美髪になるということを信じている人は多いはずです。シャンプーの知識をかじった人は、「アミノ酸系の界面活性剤がベスト」、「ノンシリコンが、育毛によい」、また、「地肌にやさしいはずの、ベビーシャンプーを使っているから、安心」などと話すかもしれません。全部、ウソです。
シャンプーの何が悪いかというと、ずばり、界面活性剤(すなわち、泡立たせる成分)です。ベビーシャンプーにも界面活性剤が入っていますので、頭皮にはやさしくありません。
シャンプーを使わないと頭皮が不潔になると考える人は、完全にシャンプーメーカーの思うツボにはまっています。あなたの頭皮は、毎日道路工事のような作業をしていない限り汚れません。ホームレスの人には、薄毛が少ないことに気付かれている人はもういるかもしれませんが、皮脂や汚れが抜け毛の原因ならば、この事実は説明できません。
なぜ、シャンプーは、頭皮を荒らすのか?
シャンプーに含まれる界面活性剤は、皮脂を強力に除去します。食器洗い洗剤にも界面活性剤が入っていますが、使い続けていると手が荒れることを思い浮かべて下さい。界面活性剤の種類には関係ありません。界面活性剤の皮脂を除去する作用そのものが、頭皮を荒らすのです。
「毛穴に皮脂が詰まると、毛が抜ける」という、何の医学的根拠もない説がシャンプーの使用を促しています。本当に、皮脂が毛穴に詰まると毛がぬけるのでしょうか?いえ、抜けません。逆に、毛は生えます。このまことしやかなウソをついて、皮脂を育毛や美髪の敵に仕立て上げたのは、シャンプーの販売会社と、あの怪しい育毛サロンなどです。
結論から先に言うと、「皮脂は育毛に重要で、過剰に取り除いてはいけない」ということになります。
皮脂は、皮膚の保護膜
皮膚の表面を覆う皮脂は、皮脂腺で作られた脂質と、皮膚の表面にある角化細胞の細胞膜脂質との混合物で、これが皮膚を保護しています。
皮脂を作る皮脂腺は小さな袋のような構造で、毛穴の奥にある毛包に開口しています。毛が伸びるとともに、皮脂も毛と一緒に毛穴から皮膚表面に送り出されます。皮脂は、皮膚や毛の表面を覆い皮膚の保護膜として機能しています。
皮脂には、重要な成分が含まれる
皮脂は汚れではなく、肌を守る多くの重要な成分を含む皮膚の一部です。皮脂は、抗酸化作用の強いビタミンEを含んでおり、皮膚表面の酸化による細胞の傷害を抑制します。また、皮脂は細菌の増殖を抑制する抗菌作用を持つ物質も含んでいます。さらに、異性を引き寄せる作用をもつフェロモンの分泌にも重要であることが知られています。
皮脂は、皮膚の保湿と保温に重要
皮脂は、皮膚の汗の蒸発を抑制し、その保湿に重要です。保湿することで温かい汗を皮膚に保ち、皮膚の保温にもつながっています。
皮脂が溜まっている毛包には、不随意筋である立毛筋が付着しています。この筋は、寒冷にさらされた時に収縮し、文字通り毛を立たせます(鳥肌が立つこと)。この反応は、本来動物の寒冷環境での保温に重要です。立毛筋が収縮すると毛が立ち上がり、皮膚を覆って保温に寄与しますが、同時に、毛穴から皮脂が絞り出され、皮脂が皮膚表面を覆うことでも保温に寄与するのです。
皮脂がないと毛が抜ける;皮脂はIGF-1を増やす
皮脂腺の働きを止めたマウスでは、脱毛が起こる事が示されており、皮脂は育毛に重要であることがわかっています。この理由は、皮脂にはIGF-1を増やす作用があるからです。すなわち、皮脂の中の脂質成分は、古くなると酸化されて過酸化脂質という物質になります。過酸化脂質は、知覚神経を刺激する作用を持っています。これが、頭を洗わないと頭皮が痒くなる原因です。この過酸化脂質による知覚神経刺激は、 IGF-1を増やします。
IGF-1は育毛効果を持っていますが、皮脂を増やす作用も持っています。すなわち、過酸化脂質(つまり、古くなった脂質)による知覚神経刺激は、新しい皮脂を作れというメッセージを頭皮に送っているのです。これらの結果、毛が伸びると同時に、新しい皮脂も毛穴から出て来るのです。
また、頭皮の温度が高いほうがIGF-1は増えやすいので、前述の皮脂による頭皮の保温効果も、育毛に貢献します。
育毛・美髪のためには、ズバリ“お湯シャン”
育毛と美髪のためには、シャンプーを使わずに、少し熱めのお湯(筆者は43℃)で毎日頭をゴシゴシ洗いましょう。これで、過剰な皮脂の除去が防がれます。シャンプーを止めてからしばらくは、シャンプーにより荒らされていた頭皮が、自身を守るために大量の皮脂を作る習慣が残るので、頭は痒くなり、ふけが増えます。しかし、お湯シャンを続けているうちに、頭皮の皮脂を作る量も減ってくるので、これらもなくなっていきます。
かかりつけのカリスマ美容師から勧められて、高いシャンプーを使っている人は写真をみて下さい。お湯シャンに変えて、3ヵ月で薄毛が改善した男性の例です。何も治療はしていません。ただ、お湯シャンに変えただけです。これでも、あなたはシャンプーを続けますか?