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2017年12月07日

ヘアケア

美髪に良くない生活習慣を改める(2)薬編part1

普段何気なく飲んでいる薬が抜け毛を増やしていると聞いたら、きっと驚かれるでしょう。毛が抜ける薬といえば抗ガン剤が良く知られていますが、もっと身近にある薬で、毛が抜けます。毛が抜ける薬とは、誰もが飲んだことのある風邪薬なのです。

 

身近にある、毛が抜ける薬とは?

風邪の時は、発熱、頭痛、のどの痛み、鼻水、そして、鼻づまりなどの症状が出ます。そのような時には、解熱鎮痛剤(ロキソニンなどが代表的)や、鼻水や鼻づまり、かゆみを抑える抗ヒスタミン剤(アレグラなどが代表的)という薬が使われます。市販のルル、パブロン、ベンザなどは、総合感冒薬と呼ばれ、これらの成分が配合されています。実は、これらの解熱鎮痛剤や抗ヒスタミン剤が脱毛を引き起こすのです。

まず、風邪薬で毛が抜けることを信じていただくために、実例をお示しします。下の写真は、60代の女性型脱毛症の女性の頭部で、私のクリニックで治療した患者さんです。カプサイシンとイソフラボンを含むサプリメントで3年ほど治療して、改善しました。しかし、注意していたにも関わらず、風邪をひいた際に抗ヒスタミン剤の一つであるタリオンという薬を処方され、服用して10日後に脱毛が確認されました。タリオンは、風邪の時や花粉症の際の鼻炎、さらに、じんましんのかゆみ止めとしても、よく処方される薬です。

▼60代女性:女性型脱毛症。左から、治療前→治療3年2ヵ月後(タリオン服用前)→治療3年3ヵ月後(タリオン服用10日後)

 

解熱鎮痛剤や抗ヒスタミン剤は、風邪や花粉症を治さない!?

風邪をひいても、花粉症の症状がでても、多くの人たちはひどくならないうちにとドラッグストアに駆け込み、店頭に山積みされている「風邪薬」や「花粉症の薬」を、ためらいもなく買って服用します。実は、これらの薬は、風邪を治す薬でも花粉症を治す薬でもないのです。

これらの薬に含まれている解熱鎮痛剤や抗ヒスタミン剤は、それぞれ、熱や痛み、また鼻水やくしゃみなどの症状を抑えるだけで、風邪や花粉症の原因である、ウイルス感染やアレルギー反応は治しません。

発熱は、免疫力を高めてウイルスを追い出すため、鼻水は、アレルギーの原因である花粉を洗い流すために起きている体の反応(治癒力)なのです。それを、わざわざ市販の薬や処方された薬で、私たちは打ち消しているのです。後述するように、これらの薬はウイルス感染やアレルギー反応を、むしろ悪化させます。

 

風邪薬は、脱毛を引き起こす!

そして何より、薄毛を気にしている人が最も注意を払わなければならないのは、これらの薬が脱毛を引き起こすことです(特に、薄毛の方では顕著です)。

このような事実を、多くの医師や薬剤師は知りません。前述のように、名古屋Kクリニックを受診されている脱毛症の患者さんでも、治療中にうっかりこれらの薬を服用して、ひどく脱毛してしまいました。薬をやめても、その後数か月間にわたり脱毛が続くこともあります。なぜ、これらの薬で、脱毛が引き起こされるのでしょうか?

 

風邪薬や花粉症の薬は、IGF-1)を低下させる!?

IGF-1育毛理論とは、知覚神経を刺激すればIGF-1が増えて、育毛効果があらわれるというものです。痛みやかゆみは知覚神経が刺激されて起こる症状なので、簡単に言えば、痛み止め(解熱鎮痛剤)やかゆみ止め(抗ヒスタミン剤)は、どちらも知覚神経を麻痺させる薬なのです。痛みもかゆみも、知覚神経が刺激されることによって出てくる症状なので、これらの薬は、知覚神経を麻痺させて症状を軽くしているのです。薬の使用により症状は軽くなりますが、同時に知覚神経機能が低下し、IGF-1が減少するため脱毛が起こります。特に、治療などで生えてきた産毛は影響を受けやすく、すぐに抜けてしまいます。

 

風邪薬は、風邪や花粉症を悪化させる!

IGF-1は育毛効果以外に、胃潰瘍を改善したり、免疫力を上げたり、アレルギー反応を抑えたりする作用を持っています。すなわち、これらの薬を飲んで、痛み、熱、そしてかゆみが治まったとしても、IGF-1は低下するので、脱毛以外にも多くの副作用がでます。

これらの中で、解熱鎮痛剤による胃潰瘍は、古くから有名な副作用です。その他にも、IGF-1を減らすことで免疫力が低下するので、風邪の原因であるウイルスの増殖は盛んになり、花粉症の原因であるアレルギー反応は悪化すると考えられます。抗ヒスタミン剤によって花粉症の症状は軽くなっても、アレルギー反応はひどくなるので、薬が切れるとアレルギー反応はますますひどくなり、症状はさらに強くなります。そのため、また薬を飲むという悪循環が起こってきます。

このような薬を飲むことは、ちょうど自動車が故障してアラームが鳴っているときに、故障は直さずにアラームだけを消して車を運転していることと同じであり、より大きな事故につながる可能性もあるのです。

 

解熱鎮痛剤の常用は、認知症やガンのリスクを上げる可能性もある

IGF-1は脳の機能を保つうえでも重要で、かゆみ止めを服用して表れる眠気は、単なる眠気ではなく軽い意識障害なのです。このような状態では、記憶力、判断力、および計算能力まで落ちてしまいます。これらの薬を長期に服用すると、認知症やガンのリスクが高くなることも十分考えられます。

これらの薬で髪の毛が抜けることは、目に見えるので分かりやすいと言えます。しかし、薬は全身に届くので実は髪の毛以外の組織にも影響は出ているのですが、それは目に見えません。だから、怖いのです。

 

安全な解熱鎮痛剤を服用する

脱毛症のある方が痛み止めや解熱剤を飲む場合、市販薬ではタイレノール(商品名)、処方薬ではカロナール(商品名)などが安全です。これらは、アセトアミノフェンという成分のみを含みます。かゆみ止め(抗ヒスタミン剤)は、市販のものも処方されるものも、ほとんどのものが脱毛させます。抗アレルギー剤では、病院で処方されるオノン(商品名)や、円形脱毛症の治療に用いられるセファランチンにアレルギーを改善する作用があり、かつ、IGF-1を増やす作用もあって安全です。

今回述べた薬の成分はさらに怖いことに、内服のみならず、皮膚に塗ったり、点眼や点鼻しても、脱毛などの副作用を起こします。これについては、次回ご紹介します。

※IGF-1・・・育毛や美髪・美肌・アンチエイジング・免疫力向上などの作用がある体内物質。

岡嶋 研二

育毛ドクター

名古屋Kクリニック院長。 IGF-1育毛理論の第一人者。

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