MENU

2019年01月16日

ヘアケア

大腸を整えて美髪になる!~IGF-1と腸内細菌の関係は?~

便秘は、育毛と美肌の敵!

カプサイシンやイソフラボン、キングアガリクスなどの知覚神経を刺激する成分を含むサプリメント(ヘアードルチェなど)は、育毛や美肌効果を持つインスリン様成長因子-1(IGF-1)を増やします。IGF-1は、これらの効果の他にも、腸の運動を活発にする作用を持っています。

便秘は腸内環境を悪化させ、抜け毛や肌荒れを増やします。そのためIGF-1を増やすサプリメントは、便秘を改善することによっても、抜け毛や肌荒れを改善させます。

なぜ腸内環境が悪化すると、抜け毛や肌荒れが増えるのでしょうか?実は、腸内環境の悪化は、体のIGF-1を減らしてしまうのです。したがってサプリメント摂取に加えて、腸内環境を良くする生活習慣を取り入れれば、さらにIGF-1が増え、髪も肌もきれいになります。

腸内環境を良くして、さらにIGF-1を増やすにはどうすれば良いのでしょうか?

 

大腸の中には常在細菌がいる:善玉菌と悪玉菌

大腸の中には、総重量1kgともいわれる腸内常在菌がいます。この細菌は、体の健康維持に貢献する善玉菌、病気を引き起こす悪玉菌、またそのどちらでもない細菌が、2:1:7の割合で存在すると言われています。善玉菌でも悪玉菌でもない7割の菌は、善玉菌が増えれば善玉菌に、悪玉菌が増えれば悪玉菌に加勢をするという、いわゆる日和見菌と呼ばれているものです。

なぜ善玉菌は健康維持に重要で、また悪玉菌はどのようにして病気を引き起こすのでしょうか?簡単にいえば、前者が“発酵”、そして後者が“腐敗”という現象を引き起こすからなのです。“発酵”とは、細菌が健康に良いものを作り出すこと、逆に“腐敗”とは、細菌が健康を害するものを作り出すことを言います。

善玉菌の代表は、乳酸菌やビフィズス菌です。善玉菌は、乳酸や酢酸、そしてバクテリオシンという腐敗菌や病原菌の増殖を抑える物質を作ります。料理の酢の物が腐りにくいのは、このためです。一方、悪玉菌の代表は、大腸菌やウェルシュ菌などです。悪玉菌は、アンモニア、硫化水素、細菌毒素、また発がん物質などを作ります。

 

大腸をきれいにすれば、IGF-1は増える!

最近、“大腸をきれいにすれば、病気にならない”というタイトルの本が出版されて、大腸と健康の関係が注目されています。大腸が健康に影響を与えるメカニズムの中でも、育毛効果の他に多くの健康効果を持ったIGF-1が重要に関わっています。すなわち、“大腸をきれいにすれば、髪の毛もきれいになる”とも言えるのです。

では、大腸をきれいにするとはどのようなことで、またなぜそうすれば体内のIGF-1が増えるのでしょうか?

 

腸内細菌とIGF-1:善玉菌が作る物質は、IGF-1増やす作用がある

私の研究の結果、善玉菌が作る乳酸、酢酸、クエン酸、アミノ酸(グルタミン酸、グリシン)アミン類(スペルミン、スペルミジン、プトレッシン)などは、知覚神経を刺激してIGF-1を増やすことが分かりました。すなわち大腸の善玉菌を増やすことで、私たちは育毛・美肌効果を持つサプリメントを服用しているのと同じ効果を得ることができるのです。

 

プロバイオティクスIGF-1効果は似ている!

プロバイオティクスとは、乳酸菌やビフィズス菌などの善玉菌を含む食品のことを指します。ヨーグルトなどのプロバイオティクスの効果には、便秘やロタウイルスによる下痢の改善の他に、アレルギーの予防、大腸がんの予防、腸の炎症改善、コレステロール低下、高血圧改善、および免疫力増強などが知られています。

これらの効果は、IGF-1の持っている作用と類似しています。すなわちプロバイオティクスは、腸内善玉菌の発酵を通してIGF-1を増やし、健康効果を発揮している可能性が高いと言えます。

 

腸内環境が悪い人には、サプリメントプロバイオティクスによる育毛がおすすめ

腸内の腐敗があると、便秘、便やおならが臭い、排便の時間が不規則、などの症状があります。また、寝つきが悪い、朝食を食べない、外食が多い、野菜不足、喫煙などの生活習慣を持った人では、腸内の腐敗が起こりやすくなります。

このような症状や生活習慣がある人には、前述の便秘を改善するサプリメントに加えて、プロバイオティクスを摂取することで育毛効果が期待できるでしょう。

IGF-1を増やす酢酸は、乳酸菌では作れませんが、ビフィズス菌では作れます。そのためビフィズス菌を含むプロバイオティクスの方がIGF-1をより増やすと考えられます。

 

整腸剤でも、乳酸菌とビフィズス菌の製剤がある

病院で処方される整腸剤も、善玉菌を含むプロバイオティクスの一つです。その代表的な薬がビオフェルミンですが、粉薬タイプは乳酸菌製剤、また錠剤タイプはビフィズス菌製剤となっています。

この違いは、処方するお医者さんも知らないかもしれません。もし下痢や便秘に対して、ビオフェルミンを処方される場合があれば、 酢酸(IGF-1を増やす)を作ることができる、ビフィズス菌製剤である錠剤タイプを希望しましょう。

 

善玉菌を守るためには、抗生物質の使用も控えめに!

抗生物質は、善玉菌、悪玉菌の区別なく細菌を殺してしまいます。もちろん悪玉菌が増えている状態(つまり感染症)では、抗生物質を治療に使用する意味はあります。しかし、せいぜい5日間以内の使用にしたいものです。

抗生物質をそれ以上使用すると、善玉菌の作用がなくなるばかりか、細菌がいなくなった領域にカビが生えてきます。抗生物質を長期に(7日間でも)服用していると、尿に酵母様真菌というカビが検出されます。このような状況では、髪の毛や肌の調子も悪くなるでしょう。

サプリメントに加えて、プロバイオティクスも摂取して、大腸からも美肌・育毛効果を高めましょう。

岡嶋 研二

育毛ドクター

名古屋Kクリニック院長。 IGF-1育毛理論の第一人者。

\ この記事をシェア /

pagetop