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2015年10月30日

ヘアケア

女性の薄毛/薄毛の原因は皮脂、というのは嘘

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随分前になりますが、お客様から衝撃のお葉書を頂いたことがあります。

それは、薄毛や抜け毛に悩んでヘッドスパへ通い、200万以上かけてきた・・・というのです。
えぇぇ!?200万以上!?と驚いてしまいました。お葉書によれは、それだけ投資しても、経過は良くなかったようです。なんということでしょうか。

実際、薄毛に悩み始めたとき、何から手をつけるでしょう。
まずシャンプー、次に育毛剤。シャンプーの際の頭皮マッサージグッズ、ヘアブラシあたりでしょうか。育毛サプリは、ここ何年かの間に出てきたものなので、知らない場合も多いでしょう。これでも変化がない場合には・・・育毛サロン、ヘッドスパ、、最終的には育毛のための医療機関、はたまたウィッグや植毛・増毛・・・。

今回は、この中で、育毛サロンやヘッドスパのお話をしたいと思います。

もちろん、良い施術を施してくれる育毛サロンやヘッドスパもあるのだと思います。しかし、中には心ない育毛サロンやヘッドスパもあるようです。私が聞いて耳を疑ったのは、「抜け毛の原因は、皮脂です」と言われたというものです。

ヘッドスパで、マイクロスコープで頭皮の毛穴を見せられ、「ほら、こんなに皮脂が!毛穴が詰まってしまっていますよ」と言われる。その場で、なにやら凄そうなマシーンが登場し、「この器械を使って、皮脂をゴッソリ取り除きます!そうすると、育毛剤もよく浸透するんですよ。ほら、血行も良くなって赤みをおびているでしょう」と。

私はこれを聞いて、とんでもない!と思います。
なぜなら、皮脂は、必要だからこそ存在しているからです。常に適量分泌され、頭皮や髪を外敵から守っています。落とし過ぎると、頭皮トラブルを引き起こしたり、抜け毛の原因にさえなります。なのに、「ゴッソリ取り除く」なんて、そんな恐ろしいことありません。
赤みをおびているのは、ほんとうに血行が良くなったのでしょうか。洗剤で食器を洗いすぎたときの手のように、何度も何度もゴッソリ洗浄されることで、荒れているのではないでしょうか。

先述のマイクロスコープで見た場合、確かに皮脂見えるでしょう。それが、正常な量なのか、異常な量なのか、ほんとうに判断できないのが素人です。
「正常な毛根」とされた、洗髪直後の毛根の写真と比較されたり、はたまた、スタッフさんの巧みな話術により、「確かにこれは頭皮に悪そう」と思わされてしまいそうです。普通に髪がフサフサの人でも、それなりに皮脂はあります。

「え、、、でも私の皮脂は絶対に尋常じゃないんだけど・・・」と、思いますか?それは、本当でしょうか。
先ほども言ったように、皮脂は、頭皮や髪を守る存在です。除去すればするほど、賢い私たちの体は、「まずい!どういうわけか、いくら分泌しても、すぐに皮脂がなくなってしまう!このままではご主人様が危ない!」と判断し、せっせと皮脂を分泌するようになるわけです。その結果、皮脂を分泌する頭皮「皮脂腺」はどんどん発達します。どんどん皮脂の分泌量が増えていってしまうのです。

筆者が高校生の頃は、「脂取り紙」なるものが流行っておりまして、思春期、たくさん分泌される顔の脂を一生懸命吸い取っている子がたくさんいました。これは、今思えばナンセンスです。脂は、取れば取るほど分泌されるのですから。あまりに気になる場合だけ、ティッシュなどで軽くおさえるだけで良いのです。

ヘッドスパや育毛サロンで強力な頭皮洗浄を行うのは、この「脂取り紙」より数段激しいことを、頭皮へ施していることになります。

これは、洗浄力の強いシャンプーで洗いすぎることも同じです。
実際に、洗浄力の強すぎるシャンプーを、優しいシャンプーに変えると、頭皮はこれまでの癖でガンガン皮脂を分泌するので、しばらくは皮脂過剰な状態になります。しかし、頭皮が、「おや?だんだん、皮脂が保たれるようになってきたぞ。そんなにバンバン分泌しなくても、もうご主人様は平気だな」とバランスを取りはじめ、分泌量が落ち着いてくるケースはとても多いようです。(正常に戻るためには、ある程度、時間がかかるようです)

残念なのが、ちまたでは、「頭皮のにっくき脂を撃退!これで育毛パワー全開!!!」のようなキャッチフレーズがあふれ、頭皮の脂を強力に洗浄するようなアイテムがあふれていることです。
そのせいでしょうか。皮脂が抜け毛の原因だと思っている方が多いように感じますが、、、。騙されてはいけません。

はっきり申し上げますが、「皮脂が薄毛の原因」というのは、都市伝説です。
どうしてこんな都市伝説ができたかというと、薄毛の人に、皮脂が多いことがよくあるからです。

薄毛を進行させる要因の1つで、男性ホルモンのテストステロンが変化した「DHT(ジヒドロテストステロン)」というものがあります。このDHTは、薄毛を進行させるだけでなく、ニキビを作る、皮脂を分泌させる、という作用があります。なので、「DHTがたくさんある人は、薄毛になりやすく、皮脂も多い」のです。

つまり、「皮脂が多いから、薄毛になる」のではなく、「DHTが多いから、薄毛になる+皮脂も多い」ということ。
皮脂によって薄毛が引き起こされているわけではありません。薄毛の人に、皮脂が多いことから、皮脂が薄毛の原因と勘違いされたんですね。

育毛サロンやヘッドスパでは、皮脂を落としすぎてしまうために頭皮がカサカサになり、かゆみやフケが出るという事例も実際に起こっているようです。
頭皮の健康を考えるのであれば、むしろ強すぎる洗浄を避け、適度な皮脂を残さなければなりません。

誤解のないよう述べておきますが、もちろん、良いサロンやスパもあると思います。
でも、長らく通ってはいるものの、いっこうに良くならない、もしくは薄毛が進行するばかりだという方は、一度頭皮の健康状態をよく確かめてみてくださいね。

元井 里奈

毛髪診断士/取締役

ボロボロの汚髪から脱出。 髪を愛する髪マニア。

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