2017年07月06日
ヘアケア
IGF-1を増やすお酒!育毛も若返りも。
髪を増やして綺麗にする作用、アンチエイジング効果、健康効果を持つ体内物質IGF-1について連載しています。今回は、 IGF-1とお酒の関係についてご紹介します。
百薬の長は、育毛にも効果あり!
脱毛症治療の目的で、名古屋Kクリニックに来院される患者さんの中には、「お酒が好きなのですが、育毛には良くないのですか?」と聞かれる方がいます。そんな時、「たばこはダメですが、お酒は逆に飲んでください」とお答えします。
酒が、百薬の長とも呼ばれる所以は何でしょうか?また、酒はなぜ育毛にもよいのでしょうか?
古代、酒は病気の治療には欠かせないものだった?!
“医”という漢字の旧字体である“醫”を分解して、この字に含まれる意味を考えてみましょう。まず、“医”は袋の中の矢を表しており、袋の中の矢を取り出してその結果を占いに使うという意味があります。
これは、医師が五感・検査結果・および医学知識を駆使して病気を診断することを表していると考えられます。“殳(るまた)”は、手で行う動作を意味しており、診療における検査や手術などを含めた手技を示しています。
そして、“酉”は酒を表しています。まだ薬がなかった時代には、酒そのもの、もしくは薬草などを混ぜた薬用酒が病気の治療に用いられており、“酉”は現代の医療における“薬”の重要性を表していると思われます。
このように、酒は古くから薬に代わるほどの重要な治療効果を持っていたことがわかります。
冷たいビールでホッとするのは、なぜ?
夏を迎え、暑い日が続くと冷たいビールがおいしい季節になります。「とりあえず、ビール」で、一日の仕事の疲れを癒す。あのホッとする感じは、実は育毛物質IGF-1の効果だったのです。
ビールの中のアルコール(5%のエタノール)、ホップ、および炭酸は、知覚神経を刺激してIGF-1を増やすことが、私の研究で明らかになりました。
IGF-1には鎮静効果があるので、ビールのノド越しの後のホッとする感じは、胃の知覚神経刺激により速やかに増えてくるIGF-1の効果と思われます。
明治時代には、ビールが薬屋で売られていたことからも、ビールがIGF-1を増やして健康効果を発揮しうることが想像できます。
赤ワインの健康効果は、レスベラトロールによるIGF-1増加で説明される!
毎日、グラス3杯の赤ワインを飲む人は認知症になりにくいということが知られていましたが、そのメカニズムはわかっていませんでした。私の研究で、赤ワインに含まれるレスベラトロールというポリフェノールが、知覚神経を刺激してIGF-1を増やす作用があることがわかりました。
IGF-1は、育毛以外にも脳の認知機能の中枢である海馬の神経細胞を活性化・再生させ、認知機能を改善する作用を持っています。したがって、適量の赤ワインによる認知症のリスク低下効果は、レスベラトロールのIGF-1増加作用によるものと考えられます。
レスベラトロールの効果にまつわる、不都合な真実があった
レスベラトロールは、NHKの番組でも特集が組まれるなど、有名なポリフェノールです。その番組内でも示されていましたが、これまではレスベラトロールが体内で長寿遺伝子を活性化するので、健康効果が表れると言われてきました。
ところが、レスベラトロールは消化管からはほとんど吸収されず、吸収されたわずかなものは、肝臓ですぐに不活化されてしまうことも報告されていました。
このように、レスベラトロールが体内に入っていかないということが表に出てこないのは、とても不思議です。レスベラトロールが長寿遺伝子を活性化するという、シャーレの中で行った実験結果を、その研究を行った人たちが守りたかったのでしょうか?
赤ワインを飲むと、それに含まれているレスベラトロールは消化管から吸収されなくても、消化管内で知覚神経を刺激して体内のIGF-1を増やし、健康効果や育毛効果を発現させることができるのです。
メルシャン株式会社の人による情報では、ブルガリア産の赤ワインにレスベラトロールは多く含まれているそうです。
ダークチョコレートとホワイトチョコレートの関係と同じですが、レスベラトロールは赤ワインにのみ含まれ、白ワインには含まれません。したがって、健康と育毛、そして美肌のためには赤ワインを飲んで下さい。また、レスベラトロールは、アルコールにしか溶けないのでブドウジュースには含まれません。
日本酒を作る時に使う酵母は、日本人と同じで世界一勤勉!
日本酒ができる過程では麹菌と清酒酵母の働きが必要ですが、清酒酵母は発酵によりいろいろなうまみを持った物質を作り、日本酒のおいしさに貢献しています。
ところが、清酒酵母は働き者過ぎて、同時に高濃度のアルコールをも作ってしまいます。そこで高濃度のアルコールから清酒酵母を守るために、麹菌がα-グルコシルグリセロールという物質を作っています。
私の研究で、この物質にもIGF-1を増やす作用があることがわかりました。従って、適量の日本酒でも育毛効果が期待できそうです。日本酒には美肌効果があると言われていますが、それもIGF-1の作用によるのでしょう。
温かいものの方が胃の知覚神経を刺激しやすいので、日本酒は、熱燗で飲む方が育毛にも美肌にも効果的です。
育毛のためには、どれだけ飲める?
健康に良いとされる、これらの酒の一日当たりの適量は、ビールなら大瓶1本、日本酒なら1~2合、赤ワインではグラス2~3杯とされています。しかし、酒好きの人では、とてもこれらの量では、満足できないでしょう。お酒は薬ではありませんから、それぞれの許容量に応じて、楽しんで飲んでください。
次回は、IGF-1を増やす水をご紹介します。